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権力の終焉


現在ではあらゆる「権力」が衰退していく過程にある。

政治家は自由に力をふるえなくなった。
大企業は独占的地位が短期間で交代していく。
古典的宗教は信徒を減らしている。
大金持ちもたやすく財産を失ってしまう。

一方、それらの権力を得る手段は多様化して以前よりもたやすく手に入るようになった。

ネットでの有名人は頻繁に出現する。
クラウドファンディングで資本のバックグラウンドがなくても事業を起こせる。
学位などの知識的権威を得る手段も多様化した。

つまり、力を持った存在になりやすくなった代わりに、力を維持し続けることが困難になり、その力も限定的なものになっている。

メガプレイヤーが衰退し多数のマイクロプレイヤーが台頭している。
政党はより多数の利益団体やNGOなどに配慮をし続けなければならなくなった。
大会社の社長は社員に以前よりずっと細かい配慮を求められる。
既存のメディアの信頼性や影響力は失墜していき無数の個人レポーターが生まれている。
多国籍軍でもソマリアの海賊に手を焼いてテロリズムとの闘争は出口が見えない。

多くの先進国では中産階級が没落し資本の集中が進みながらも富裕層もたやすく没落し貧困層の生活は苦しくなっている。
一方で途上国の貧困層の生活レベルは改善されて行っている。

権力の衰退は良い側面も大量にある一方、問題も抱えている。
温暖化対策などに有効な対策が打てなくなっている。
そもそも権力とは社会を安定させ秩序をさせようとする力だ。

これから政治の世界にも透明性と信頼性の高いイノベーションが起こることを期待してこの本は終わっている。
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ますます安定がなくなっていく社会の中で、不安定の波を乗りこなしていくあり方が必要なのだと実感した。
先進国で一般人の生活レベルが下がっていくということが世界的に示されている以上、自分がどんなふうな在り方でいたいのかは問いかけ続けたい。
政治におけるイノベーションの具体的な姿はこの本では示されていないが、よりよい社会制度を効率的に実現していくための体制は、今後の社会における重大な関心事になるだろう。

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