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統合失調症がやってきた

感想「統合失調症がやってきた」
松元ハウス

松元ハウスというコンビで活躍するハウス加賀谷さんの、統合失調症になってしまう生い立ちや芸人として活躍する様子、精神状態を悪化させて入院すること、そこから10年という時間をかけて復活するところまで書いている。

読んでいて何度も涙が出た。
幼少時代の抑圧により統合失調症にかかる様子、
幻聴や幻覚が出てくる恐怖、
芸人としてブレイクすること、
心身の調子を狂わせてしまうこと、
入院生活、
退院後の社会復帰、
そこから再び舞台へ・・・

あとがきで加賀谷さんは「僕は幸せです」と書いていた。
壮絶な体験を経てきて、もちろんその幸せだということを100%そのまま本人の状態だと受け取っていいのかは分からないけど、少なくとも幸せだと言えることは素晴らしいことだ。

こういう本を読むにあたって自分が常に意識していることがある。
それは、統合失調症の人はみんなこうなんだ、というふうに一般化するようなことは決してしてはいけないということだ。
性格も状況も病状もそれぞれが全く違う個人個人なのだ。

ハウス加賀谷さんは再び漫才の舞台に立てた。
それは少なくとも、
・自分の現状が甘くないと認識する力
・明確で強烈な目標があり、芸人として一度はブレイクしたことで、その目標を痛いほどリアルに感じることができたこと
・本気でサポートしてくれる周囲の人の力
これらのうち一つでも欠けていたら少なくとも芸人復帰という形での幸せには届かなかっただろう。

だから「統合失調症でも社会で活躍できる」とか「周囲のサポートがあれば必ず幸せになれる」だとか、安易に一般化するようなことだけはできない。
それは、そういう状況にない患者と家族とを追い詰めるだけだろう。

それでも、70億人いる人間の一つの形として、社会の一人として、自分の中にもあるだろう統合失調症的な部分の理解として、こういう人の心情にも寄り添える人間でありたい。

そういう心情は脇においても、さすが芸人さんの本で飽きさせずにテンポよく読めて描写もイメージ豊かで、興味深く読めました。
よかったらみなさんも読んでみてください^^
https://goo.gl/21pp6V

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