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読書「失敗の科学」

失敗から学習する組織、学習できない組織
 マシュー・サイド著

具体的な事例を丁寧に紹介しながら、失敗に対してどう向き合うことが再発防止につながり組織の成長になるかを論じている。

本書で繰り返し述べられているのは「失敗を個人の責任に帰して責めることは再発防止にはむしろ悪影響だ」ということである。
個人は責められると思うと失敗を隠す。
組織が個人に安易に懲罰を与えることは、複雑に絡み合った原因の真相解明を阻害してしまう。
失敗を隠すのではなく、組織全体の学びの契機として共有する文化を作ることこそが再発防止につながる。

本書では上記のことが具体例と統計とを引き合いに出しながら説明されていて納得することが出来た。

心理学的な要因だったり、機器の配置だったり、組織内での指揮命令系統だったり、失敗というものは複雑な要因が複数重なって起こるものだ。
人間はつい物事を単純化してみたくなってしまい、わかりやすい説明を信じ込んでしまう。

また、人は代償を払ったものは価値があると信じてしまいがちで、失敗を認めにくい。

そのようにして一度信じ込んだことを間違っていたと認めるのは非常に難しい。
客観的なデータを示されても、事実の解釈を変えることで信じ込んだことは正しいとの思い込みを手放さない。

失敗を活かすには、失敗を適切に検証して改良する体勢こそが重要だ。

本書の主題は組織論だが、個人の学習についても書いてある。
成長率の高い個人は失敗で学習意欲を高めてPCDAサイクルを回す。
たくさん失敗することがたくさん成長することにつながる。

本書の内容を分かった上で、人の失敗や自分の失敗や組織の失敗というものを捉えるのがいいと考えさせられた。
どうにか活かしていきたい一冊だ。

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